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  • 執筆者の写真ずーサン WP

02:女子高生、eスポーツ専門会社のアルバイト面接に臨む

更新日:2022年8月12日



(どうしよう…緊張しすぎて今すぐ引き返したくなってきたぁ…)


「新宿駅」で東京メトロ丸ノ内線に乗り換える。 2駅先の「新宿御苑前駅」で降りて改札を抜けて、階段を上がって外に出る。

目的地まではこの道を真っ直ぐ進むだけ。 3月の晴れの日はまだほんの少し風が冷たいけど、凄く快適。

私は今、アルバイトの面接に向かっている。


「ここでアルバイトしたい!」と自分で意気込んで連絡したくせに、いざ面接に向かうとなると足取りが重い。

ちなみに私はアルバイト経験は無い。 面接の経験は…高校受験の時くらい。

とは言え逃げ出すわけにはいかない私は、心の中でウダウダ言いながらもテクテク歩いている。

テクテクだろうがトコトコだろうが歩いていれば前に進む訳で。 気がついたら目的地手前の最後の横断歩道まで来ちゃった…


信号が青にならなければ良いのに… でも青にならなかったら面接に間に合わないわけで… そうなるときっと怒られるよね… あ、コッチの信号が黄色になった… て事はそろそろこれ青になりますよね…


訳のわからない問答をしている間にとうとう信号が青になった。


(ち、ちょっと飲み物でも買っていこうかな…)

私は往生際悪く、信号を渡った先にあるファミリーマートに踏み入れる。

飲み物コーナーに行き、水を1本手に取ってレジに並ぶ。


「あ、袋はいらないです。」


そう言って私は買った水をカバンにしまう。

カバンがずっしりと重くなり、カバンを掛ける肩に負担がかかる。 カバン重いなぁ… それもそのハズ。 カバンに水が"2本"入ってるんだから。


…うぅ、私のバカ。


いよいよ寄り道する所はなくなり、事務所のあるビルに辿り着いてしまった。 ここまで来たらもう開き直るしか無い!

エレベーターに乗り込み、私は6Fのボタンを押した。

エレベーターで運ばれているこの時間、生きた心地がしない。 ディズニーシーで初めてセンター・オブ・ジ・アースに乗った時のエレベーターを思い出す。 ヤバい所に運ばれてる気がしてドキドキするんだよねアレ…

ちなみにセンター・オブ・ジ・アースは落ちる所よりも、その直前にある雷の音が一番苦手です()


そしてとうとうエレベーターの扉が開くと、ゲームのグッズが立ち並び、観葉植物がバランスよく配置されたとてもキレイなオフィスが現れた。

私は活用した事が無いけど、"こわーきんぐすぺーす"とやらに似ている気がする。 なんかの資料とかで見ただけだけど。


エレベーターを降りてすぐのスペースでは何人かの社員さんが仕事をしていて、私の姿を確認すると皆さんが少しキョトンとした表情になった気がする。


私の場違い感が凄い…

決してそんな事は無いのかもだけど、まるで蛇に睨まれたカエルのような気分で目眩がしそうな所に、耳に覚えのある声がかかった。


「あ、もしかして面接の子?」


声の主の方を見やると、伸縮性のありそうな黒いロングパンツを履き、白いTシャツの上から黒い薄手のパーカーを羽織った、180cmくらいありそうな長身の男の人が歩いてきた。

Tシャツの胸には「WELLPLAYED LEAGUE」のロゴ。 そして足元が…サンダルだ!


「どもども。面接担当しますずーサンです。宜しくね。」


ず、ずーサンだ!! ウェルプレイドリーグの責任者の…! 本物だ…!! 何度もYouTubeの動画で見てた人! 背高い! カッコいいな~!


てか…


ちゃす!って言わないんですか!!w


■ずーサンについて ウェルプレイド・ライゼスト株式会社のプロデューサー。 入社5年目。 当時「eスポーツ」という言葉すら知らない状態で入社。 入社以降#コンパス の大会運営を担当していて、ウェルプレイドリーグの責任者。 他のプロデューサーと異なりガンガン表に出る人。 挨拶は「ちゃす!」でトレードマークはサンダル。


心の中で1人感激して、勢いそのままに華麗にツッコミを決めてしまった… 心の中とは言え恥ずかしい。


ずーサンに案内されて奥の会議室に通されると、「あ、お茶持ってくるから座ってて」と着席を促される。


こ、これって座って良いんだっけ? なんか卒業式とかで偉い人が「お掛け下さい」って言ってもすぐに座っちゃ駄目で、そのあと先生が「着席」って言って初めて座れるシステムあるよね? 会社とかもやっぱりあのシステムなのかな!?


そんな事を考えてうろたえていると、ずーサンがお茶を持って帰ってきた。


「いや立ってるんかい!w」


笑いながら軽快に突っ込まれてしまった。


「大丈夫よ座ってw卒業式とかにある"2回目言われるまで座っちゃいけないシステム"みたいな感じかと思った?w」


そう言われた私は俯きながら「失礼します」とだけ言って席に着いた。

…なんでバレたんだろう。


「おっけー!じゃあ早速面接するかー。なんかスゲー緊張してるような気もするけれどw」


着席した私を確認すると、笑いながらもずーサンは早速面接を始める。 私の緊張はまだ1ミリも解けてないけど、ここはなんとか頑張るしかない…!


「えーと…履歴書に書いてある事はまぁ良いとして。多分ゲームすると思うんだけれど、ゲーマーの名前ってある?オレで言う所の"ずーサン"みたいな。あとどんなゲームやってるとか聞きたいかな。」


「い、いろはです…よろしくお願いします…趣味はゲーム…です。#コンパス やってます。」


私は振り絞るように答えた。 言い終えた後に、自分の回答があまりに短く、淡白である事に気が付く。 緊張しすぎてずーサンの目を見る事なんて全く出来ない。


「なんでうちで働きたいの?」


!!!

前の質問の緩さから一転、突然の鋭い質問。 か、かなり単刀直入だ…! 変な回り道せずに一番聞きたい事をまっすぐに聞いてる感じがする…


「えと…みんなで通話しながらWPLを見てたんです。入ったばかりのギルドで知らない人も多くて…」


ずーサンは「うんうん」と頷きつつメモを取りながら聞いている。 ずーサンの視線がメモの方に向いている事に気が付くと、自分がじっと見られている感覚からなんとなく開放された気がした。


少しずつ緊張が解けていくのがわかる。

実際に自分がWPLを皆と一緒に見ていた時の事を思い出すと、当時の光景が鮮明に頭の中に浮かんできた。


「でも始まったらもう凄く熱いバトルばかりで…!選手の皆さんも本当に上手くて違うゲーム見てるみたいで…応援してたチームが優勝出来そうなとこまで行ったんですがもう大接戦でどのチームもみんなかっこ良くて感極まって、な、泣いちゃったりして…みんなで興奮して自分たちもうまくなりたい今すぐバトル行きたいねって話してたらいつの間にかすごく仲良くなってて…年齢も住んでる場所もバラバラの知らない人たちがいつの間にかと…"友達"になってたんです!私もそういう人と人が繋がる場所を作りたいなって…」


ふと我に返った。

あれ、私いま何話してたっけ!?

当時を思い返したらなんかテンション上がっちゃって、想いのままに話してたら凄い量喋ってったっぽい!?


「それで…WPLで働きたいって…思った…んです…」


興奮状態から一気に冷めた感じがして不安で仕方なくなった私の声からは力が失われて、自分でも語尾が霞んでいるのがわかる。


どうしようどうしよう! 熱くなって余計なこと言ってない? もうだめだ不採用かも…


「いいね!採用!!」



!!? ………………採用??


採用って言葉が出たけど、まだ全然事態が飲み込めてない。 …いまどーゆー状況だっけ?

私がテンション上がっている間に、そんなに素敵な事言えてたって事!?

混乱する私を見てか見ないでか、ずーサンの言葉は続く。


「…と言いたい所なんだけど!」


…あれ? 待って待って待って!!ちょっと待って!!!

この流れってもしかしてマズくない…?

「君の熱量の高さは分かったけれど、熱量だけなら他にも沢山居るんだよね。君にそれしか無いんなら君である必要は無いかもしれないね。」

とかとか言われそう!!

ずーサン怖い!!

私は少しだけ嫌な予感がしてきた。


「熱量の部分は凄く伝わった!WPLに対する熱量の部分で言えば合格ラインに達してると思う。なので、ここからはもう少し心の中を紐解いていこうかな。」














■いろは公式HP

https://kazukimuto.wixsite.com/wpl-iroha

※過去のイラストはコチラから



■グッズSTORE

https://wellplayedleague.stores.jp/

※Tシャツ/トートバッグ/いろはシール等

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